ハンドポンプとプラケグ 01
2025.10.16
ハンドポンプとプラケグ
今回はちょっとマニアックなお話ですが、時代背景を考えるとある意味エモいお話です。
ハンドポンプ、別名ビアエンジン。
井戸の原理を使ってハンドルを手前に引くとビールが注がれるという、イギリスパブ文化に思いを馳せる人間なら一度は憧れるツール。
その構造上、樽の中でCo2が二次発酵して0.5〜0.6Barを超えてしまうと、シリンダーの内部の円型部品を飛び越えてビールが勝手に出てきてしまうという特徴があります。
従いましてハンドポンプを使用する際は樽詰めする時に強制的にガスを抜いたりして、いわゆるリアルエールという状態にして繋ぐ事が一般的です。
更には、樽内にガスが掛かりすぎないようにカスクブリーザーという、0.3Barしかガスが行かないようにする部品を取り付けたりしてガス圧を調整します。
ここまでが前説、今からが本題です。
ステンレスケグの歴史は意外と浅く、あのキリンビールですら1962年にステンレス樽に切り替えたのだとか!(キリンビールのHPより)
それに対してハンドポンプの歴史は古くてWiki見ると1700年代にはそれっぽい装置が出来てたみたい。当然当時は木樽だし、その後のステンレス樽もしっかりした構造。
それに対して最近の流通で使われるペットボトルのお化けみたいなキーケグやパブケグやドリウムケグなどは指で押すとペコペコする素材です。キーケグが2006〜2007年頃から流通し始めたので、まだその歴史は20年弱って所ですかね。
最近ではナイトロフォーセットで強い窒素ガスを掛けてサージングさせる為のリアルエールをプラケグに詰めるブルワリーさんが結構増えてきております。
対応策
さて、登場して20年も経っていない最新のペットボトル型ケグと、200年の歴史を持つハンドポンプが出会うとどんな事が起こるのか?
この前、とあるお店のハンドポンプにてその奇跡の出会いが起こりまして、結果としてはブルワーさんもお店も、施工したボクも誰も想像出来なかった事が起こりました。
0.3Barしかガスが掛からないカスクブリーザーを通してプラケグにガスを掛けてハンドポンプで抽出すると、ケグ内が陰圧になり、凹んでいくのです!
キーケグに詳しいインポーターさんや、ドリウムケグにリアルエールを詰めたブルワリーさんやハンドポンプを20年以上取り扱ってる飲食店オーナーさんらと連絡取り合ったんですが、皆んな「想像の範囲外やなー!」とビックリしながらも「200年前のシステムと20年未満の最新のケグが出会う事でしか起こり得なかったトラブルってある意味エモいよなー」と、妙に感心してしまったんですよね。
解決策としてはそのままカスクブリーザー経由で抽出し、ケグが凹みはじめたらバイパスさせた中間コックをひとつ取り付けておき、そこを一瞬開く事で陰圧を解消して均衡圧を取る、という方法しか無いよなー、に着地しそうです。
いやーまだまだ世の中思いもよらない事が起こるもんだ、世界は面白い。